「ポリ」って何?

ギターの話において出てくる「ポリ」は、「ポリ塗装」という形で言葉にされることが一般的。じゃあこの「ポリ塗装」って何?

ギターにおいて一般的な塗料はニトロセルロースラッカー、ポリウレタン、ポリエステルの三種類。
日本国内においては溶剤にシンナーを用いる所謂「油性塗料」が用いられますが、北米等では規制において水性塗料が用いられる場合もありますが、水を吸い込んでしまう木材の特徴から下塗りから全て水性で塗ることは無いと思います。
基本的には水性か油性かは溶剤の違いであり、上記三種類の違いとはまた別の話です。

で、です。「ポリ塗装」というと結構悪者扱いされています。
「このギターはポリ塗装だから鳴りが悪いんだよ」なんて台詞はあちこちで散見できますね。まあそういうことを言う人に直接聞いてみたわけではないのですが、おそらくこの場合の「ポリ塗装」を指すものは「ポリエステル塗装」のことだと思います。

既にお気づきかと思いますが、「ポリ塗装」の「ポリ」は「ポリウレタン」や「ポリエステル」の略であり、所謂ラッカーと呼ばれる「ニトロセルロースラッカー」との差別化という意味合いなわけですね。
で、じゃあこの「ポリ」って何だ?って話に無理やり持ち込むわけですが、これは高分子=ポリマーのことです。塗料の場合は高分子化合物となります。
つまり「ポリ塗装」と言うと「高分子化合物塗装」ということになるわけです。
で、そうなるとですね、矛盾が生じてしまうわけです。なぜなら・・・

セルロースもポリマーだから。

ニトロセルロースというのはセルロースに濃硝酸と濃硫酸を作用させ、セルロース中のOH基がニトロ化した物ですから、ニトロセルロースラッカーも立派な「ポリ塗料(塗装)」です。
まあ当然の話ではあるのです。モノマーで塗膜を形成することは出来ません。接着剤もそうです。
何かしら結合を必要とするわけですから結合力の強い物質、つまりポリマーで無いと具合が悪いのです。

「ポリかラッカーか」で充分会話が成立してしまい、つまり単純にその差別において使われる言葉ではありますが、「ポリだから悪い」というような使い方をすると明らかに間違いです。また、「ラッカー」というのは速乾性塗料の総称であり、「ラッカー=ニトロセルロース塗料」というわけでもありません。

つまり何が言いたいかと言いますと、「問題は呼称ではなく性質と影響でしょ?」ということです。
「ポリ塗装」なんて言ってしまうと、それは「少なくともギターに使われる三種の塗料について何も知りません」と言ってるのと同じなんです。
使う塗料がどういう「性質」で、楽器であるギターにどういう「影響」があるのか。
同じポリマーでもニトロセルロースとポリウレタンとポリエステル、全く違う「性質」と「影響」がある。しかも「影響」においては物理的特性や作用なわけですから、きちんと「違い」を把握していないと良し悪しなんて語れる物ではありません。
つまり、三種の中でも弾力性に富むニトロセルロースラッカーを「良い塗料」だからと言って分厚い塗膜を作ってしまうと振動をダンプしてしまい物理的特性においてそれを殺してしまいます。

性質と影響を知って効果を得る。○○だから良い悪いではないのですよ。
それは木材においても同じです。

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