オーダー335タイプ完成

もう大変でした。

335途中で大幅な仕様変更もあり、完成がだいぶ遅れてしまいましたが、待って頂いた甲斐のある超強力なギターになりました。

で、変わったブランコテイルピースやヘッドの化粧などが目に付く以外は(コントロールも355ぽいけど)普通の335に見えますが、実はメイプルネックのロングスケールで、ナット幅は42mm、ネックエンドは65.5mmとフェンダースペックを取り入れています。しかもネックグリップはVシェイプです。

そもそも私は、ギブソン系セミアコはベニアプレスボディーでないと認めない(笑)主義でして、そうでないと所謂335らしさとか、そういう部分は出ないと考えるわけです。
勿論単板削り出しトップ&バックのセミアコを否定する気はありませんが、そういうギターにはそういう方向性の音というものがあり、またそういうギターは箱物の専門家のほうが私よりもはるかに良いギターを作るはずだと、要は餅は餅屋ですね、そう思うのです。
で、このボディーはファクトリーアウトの物を仕入れました。が、このボディーは一般的な335とは構造が少し違いまして、センターブロックがトップとバックに直接接しているのです。
本来はトップとバックのセンターブロックと接合される箇所にスノコ状に板が貼られ、そこを平面を出して長方形断面のセンターブロックが接着されています。つまりこのボディーにはそのスノコが無いわけです。
しかも、リアピックアップキャビティーから電装系を流し込む開口部も無い!
つまりセンターブロックがしっかりと剛性を確保しているわけです。これを活かさないわけにはいかない!

そして、このボディーを使うのであればメイプルネックにブランコテイルピースの70年代仕様を原型にすべきだと。そしてオーナーは基本的にストラトプレイヤーなので、ナット、エンド幅をストラト同様にして、しかもロングスケールとすることで違和感無く両者を弾き分けられるようにという配慮でもあるわけです。

335で、特筆すべきはこのブランコテイルピースです。
これは最初からこの仕組みで行こうと考案していたのですが、一般的なボディーサイドからヒンジで固定されるタイプとは違い、ボディートップに設けた支柱にブランコテイルピースが引っかかっている構造です。
こうすることで6本の弦は一旦テイルピースに置き換えられ、それが1点でボディーに接続されることになります。つまり、弦を弾くことで生じる6本の弦の力のアンバランスが1点支持のテイルピースによって吸収される。言い換えれば6本分の弦のテンションが1箇所に集まることで、ゲージと音程から来る各弦ごとのテンションのアンバランスを解消する構造というわけです。
これは、どの弦を弾いても同じ感覚で弾けることと、どの弦を弾いてもギター本体が同じ反応をすることが狙いで、つまり弦ごとに音が出っ張ったり引っ込んだりせず、どの弦を弾いても最大限の鳴りを引き出すための工夫です。
因みにボールエンドを掛けてある部分は抜きのように見えますが、掘り込んだ底面にメイプルの突き板を貼り、ボディーと同色に染めて抜きに見えるようにしてあります。
またブランコテイルピースの材料はセイロンサテンウッドという高級家具材で、メイプルのように硬くて重い針葉樹です。同じ材をヘッドの化粧にも用いています。

コントロールは通常の335と同様で、文字盤付きチキンノブはローカットトーンになっています。
先にも書きましたが、リアピックアップキャビティーに電装系を流し込む大穴が開いていませんので、全てFホールから流し込むという驚異的に面倒臭い作業でした(笑)。

ピックガードはロングタイプで、ちょい傷で使えなかった黒×赤×黒のピックガード材から傷を避けて裁断しました。ベベルからボディーと近似値の赤が覗くという形ですね。
このピックガードもオーナーが「ピックガード上にネジが見えるのが嫌だ!」と言い出しまして(笑)、フロントエスカッション底部に掘り込み加工をし、ブラケットをエスカッション留めネジで固定し、ブラケットから両面テープで固定というこれまた面倒臭い手法を用いました。

まあ、苦労話をしだすと際限が無いギターですのでこの辺で止めておきますが、いつまでも弾いていたいギターですね。それだけに納品時は少々寂しい思いをしました(笑)。
とにかく私のギター作りの大前提であるアタックレスポンスの速さはしっかり確保していますし、ソリッドギターのような芯もしっかりありつつ335然としたセミアコ特有の鳴りもしっかり存在し、それが喧嘩することなくバランスされています。
また、量産品のセミアコにありがちなトップ表面だけで弦が鳴っているような薄っぺらさは微塵も無く、生鳴りもオーナー本人が「アコギみたい」と言うほど大きいです(笑)。
セミアコは必要な剛性をしっかり持たせたうえでそれを胴鳴りにどう活かすかにかかっており、それを最大限引き出すことが出来ました。
難産だった甲斐のある素晴らしいギターに纏め上げることが出来ました。

PRS レストア開始!!

PRSギターの一ファンとして、今までギター製作やレストアにおいて独自に培ってきたノウハウを惜しみなく継ぎ込み、PRSユーザーが手放すことを考えない、「さあギターを弾こう」と思い立った時にいつも真っ先に手にしているような、いつまでも弾いていたくなるような、そういうギターに仕上げようとPRSのレストアに踏み出すことにしました。